冬の作業では、剪定と誘引作業を軸に土壌環境の見直しなど、バラの状態に見合う手入れを行い、風景となる春の形をつくります。

バラの年間管理をご予定いただいている、泉区のガーデンへ。
鉢植えのグラハム・トーマス

フロントガーデンの花壇から、枝を広げるグラハムトーマス。
手入れのご相談をお受けした初年度の状態は、鉢鉢底から根が抜け出してはいるものの調子が安定しない1mほどの株でした。
鉢底から抜け出した根

お伺いした時季が花後(6月ごろ)であったこと、次の作業が未定だったことから、植え替えは選択せず、ひとまずは樹勢を上げてもらえるよう、鉢底穴の拡張と鉢周りの土壌を見直しを行いました。
2回目の作業(夏の手入れ)が決まり、お伺いした時には株が活性し始めており、ふた回りほどにも大きく成長していたので、現状のまま育成して行くことに。
鉢から抜け出す根の割合が増えるほど調子の安定につながりますが、鉢植えバラの要素を残しているため、夏場や雨の少ない時季に調子を崩してしまうケースがあります。安定するまでに数年かかる場合もあるので、鉢植えバラに寄せた管理をしながら様子を見て行くのが良いでしょう。
グラハム・トーマスの誘引

育成環境の見直しから数年、グラハムトーマスは大きな株へと成長しました。
数本の支柱とワイヤーで誘引の設定を組み、意図しない方向(裏やお隣り)へ伸びてしまわないよう取り回しを意識し枝を広げています。
- ウッドチップスのアトリエでは、同様の形で大きく育てているバラが何本かあり、先に鉢底を抜いてから植え付けているバラと合わせ、成長を観察しています。
開花時の風景レポート

自立して枝を広げているような印象に、高い位置から枝垂れるバラの雰囲気がとても良い、春の風景レポートを頂きました。
壁面のフランソワ・ジュランビル

奥の壁面に枝を広げるフランソワジュランビルは、樹勢を落としていたところから活性につなげており、新しく伸ばした枝の量に合わせ風景を拡張しています。
枝を広げる先として、通路から奥の庭へのゲート(パイプアーチ)を設置し、枝葉の様子(育成・日照環境)を確認しながら、2ヵ所3ヵ所と増設しています。
パイプアーチの増設と誘引


冬作業(11月~3月ごろ)前の作業にあたる「秋の手入れ」で、前方に4ヵ所目となるアーチを設置し、おおまかな誘引を済ませています。
秋の手入れ以降はバラの動きも少ないので、軽微な調整で冬の仕立てを終えました。
ランブラーローズの誘引と設定

壁面の作業は手前から奥へと、葉と小枝を落としながら状態の悪い枝を減らして行きます。
こちらのアーチは、風景をアレンジを目的として取り入れています(簡易なものをお試しとして)。

壁面の上まで届く大きな脚立に、足掛け程度の小さなものまで、使い勝手の良い脚立はどれなのかと試しており、アトリエでのみ使用していた軽量の脚立が高さともに丁度よく、壁面作業で欠かせない道具になりました。
ウッドデッキから先にはフェンスが設置されているので、手入れの開始地点が最も広いセーフティポイントとになります。

テラスデッキの上から壁面を眺めた場合、前方のフェンスにより視界から隠れてしまう場所が出来るので、良い枝を無駄なく使えるよう、テラスから眺める風景を意識しながら流れを組んでいます。
前方のフェンス・後方の壁面

前方のアイアンフェンスと壁面までは数十センチほどしか開いておらず、脚立の出し入れは左右にあるセーフティポイントに限られるなど動き辛いなかでの作業になりますが、前方と後方で風景が区切られることで、枝の流れは組みやすくなっています。
アリスター・ステラ・グレイ

風景担当:フランソワジュランビル(壁面) アリスターステラグレイ(フェンス)
そして・・
ランブラーローズの2本体制

壁面の左側から流れてくるフランソワジュランビルに、右側奥からヴィォレットが加わえており、2本体制(ランブラーローズ)の風景へと変えて行く予定です。
ランブラーローズを重ねることのメリットは、調子の良くない場所があれば一方のバラでカバーすることが出来るため、樹勢を落としている枝の更新を進め易くなり、風景の安定化につなげられます。
一方、成長に見合う定期的な手入れを行えないような場合には、景観は大きく崩してしまい、より手を入れ難い状況をつくってしまうので、一般的なおすすめ設定には該当しないかも知れません。
つるバラの風景づくり

横浜市の泉区のガーデンは、アトリエから遠方のため(片道90Kほど)エクステリア作業では対応地域を超えており、バラの手入れも要検討にあたる地域になります。
最初のご相談「フランソワジュランビルの株に入り込んだカミキリムシ幼虫の駆除」への対応が切っ掛けとなり「ゆっくりとでもバラを楽しめる庭に変えたい」とのことで、ウッドチップスの作業スタイルにマッチし、現在の空間づくりへ至ります。
アーチを用いた空間の拡張

誘引を終えたところで骨組みとなるアーチに目が行きますが、葉が茂ればおおむね隠れると思います(設定初年度のため枝が少ない)。
誘引を終えたところで骨組みとなるアーチに目が行きますが(設定初年度のため枝が少ない)ハーフドームのように懐を深くするための起点として用いており、一面をバラの風景として取り組めるようなイメージになります。
少し変わった設定なので、春のレポートを楽しみにしたいと思います。
つるバラのフェンス

初年度以降に目隠しとして新設していただいたウッドフェンスには、レイニーブルーをメインローズとして育成しています。

夏の作業で背景の目隠し効果を上げるため、上部ワンスパンを拡張しています。
レイニーブルー

まだ植え込んで間もないレイニーブルーは、根の定着率もそこまで高くはない雰囲気ですが、今季の成長期あたりから、ぐぐっと伸びてくれそうな気配を感じます。
バラを楽しめる庭へ

頂いた春のレポートから、バラを楽しめる庭に変わって来た様子が感じられます。
シジュウカラの親子とバードバス

バードバスで水浴びをする、シジュウカラ親子の会話が聞こえてきそうな、可愛いレポートも頂いています。
シジュウカラと親しくなってきたということで・・
シジュウカラのバードハウス

部屋から眺めることのできるユーカリの木にバードハウス(ぐるメゾン52号館)がオープンしました。
現在単体での製作はしていないのですが、バラの年間管理を継続され(3年)小鳥たちと関係を深められている場合に限り、ご提供できるアイテムとしています。
※季節管理の作業にはバードハウスの内部清掃も含まれます。
バラの年間管理(春の手入)

年間管理をご予定いただいているガーデンでは、4月頃から春の管理にまわります。
春の手入では、冬の誘引作業後に伸びて来た新しい枝の調整、育成環境とバラの状態に見合う薬散を主に取り組み、病気の予防と治療に害虫の発生に対処出来るよう、1回目の手入から1週間前後の日を開け、2回の作業をご予定しております。
庭の広さやバラの数による違いはありますが、植え替えなどの予定がなく通常の取り組み範囲で収まる場合は、おおむね軽作業(短時間)となります。
※ご希望に春の管理を1回(1日)とされているケースもございます。
- バラの季節管理(横浜市泉区の庭)春から秋までの手入れは、新しいページでレポートして行きます。