バラの害虫【カミキリムシ】幼虫による被害への対処

このページでは、カミキリムシへの対策と幼虫による被害への対処についてご案内しています。

カミキリムシ幼虫への対処は、6月~3月ごろに掛けて取り組んでいます。

バラが調子を落としてまう要因のひとつに、カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)による株への被害(食害)があります。

バラの天敵とも呼べるカミキリムシへの対処は、ウッドチップスで力を入れている取り組みのひとつです。データを基にした見回りから対処にあたり、大切なバラへの被害を抑えます。

カミキリムシによるバラへの被害

地域や環境により異なりますが、カミキリムシ(成虫)は、バラの季節が終わりに向かう6月ごろから発生し、夏場に向かい活動を広げて行きます。

カミキリムシによる被害で危惧すべきは、幼虫(テッポウムシ)による株元(根元)近くの食害になります。7月~8月ごろから活動を始め、孵化して間もない小さな幼虫は、おどろく程の速さでバラを食して進み、成長にともない被害を広げます。

行動範囲を絞れないカミキリムシ(成虫)を退治できる機会は多くありませんが、バラの中で食害を進める幼虫の居場所を特定し、駆除につなげることは、おおむね可能です。

バラの風景を深めて行く上で、カミキリムシの幼虫による被害への対処(駆除)は外せない管理と考えており、ウッドチップスで取組む全ての作業に取り入れています。

カミキリムシへの対策

対策時季 6月~8月ごろ
バラの手入れをしているところ、飛来してくるカミキリムシを目にすることは珍しくありません。

食害を受けた枝

また、姿を見かけていなくても食害された枝から「カミキリムシ発生シーズンの到来」を知るケースも多いです。

カミキリムシはどこから来るのか

葉に隠れている2匹のカミキリムシ

ご自宅の庭がカミキリムシの発生元に該当しない場合には、樹木が植わっている近隣の公園やバラを植えられている庭などから飛来している可能性が考えられます。

バラの年間管理をご予定いただいている庭では、カミキリムシの幼虫は駆除されるため発生元には該当しません。

カミキリムシの産卵場所

大きく成長しているバラは、高くまで枝を伸ばし葉を広げていることから、飛来するカミキリムシの着地場所となりやすく、被害を受ける確率の高いバラとして考えられます。

カミキリムシは、庭に植えられている「バラそのれぞれの成長具合」を把握している訳ではないため、それほど大きな株でもない若いバラが産卵場所のひとつとして選ばれてしまうケースもあります。

株元に向かうところで発見

カミキリムシ対策のひとつとしている「バラの見回り」は、被害を受ける可能性があるバラ(株元)の視認性を高め、目を通す機会を増やし「幼虫による被害の早期発見」につなげることを目的としています。

また、成虫の発生時季から「バラの見回り」を取り入れることで、カミキリムシの発見から駆除へつなげることのできる可能性が生まれます。

枝の上部や足元でカミキリムシを見かけた場合、すでに産卵されてしまった後かも知れませんが、とり逃さず対処することで被害の広がりを抑えます。

被害を抑制するバラの見回り

こちらは、見回りによるカミキリムシの発見から「産卵された確率の高いバラ」としてマークしており、幼虫による食害を早期に発見し、駆除へとつなげられたケースになります。

株元に居たカミキリムシを退治してから数日、産卵場所の痕跡を調べていたところ、卵の排除につながりました。

7.29 幼虫の駆除

観察を続けること数日、卵を排除した隣の枝から幼虫による食害の気配を感じ、孵化して間もない幼虫の駆除に成功します。

なお、記録にはありませんが、数日後に奥の枝からも幼虫が発生しているため、1株で3ヵ所の被害(産卵)を受けたケースとなりました。

カミキリムシによる産卵を目撃していなかった場合には、発見のタイミングが遅れることになりますが、その分で幼虫が成長しているため、1ヵ所目となる幼虫による木屑(食害による排出痕)が目に付いたところで、3匹同時の駆除へとつながっている可能性が考えられます。

幼虫による被害(初期)

対策時季 7月~8月ごろ
幼虫の発生時季に入り、バラの株元近くで最初の被害(木屑・排出痕)を発見した場合には、全てのバラに目を通し、庭全体の被害状況を確認します。孵化には開きがあるので被害の落ち着く時季まで見回りを継続し、順次対処にあたります。

孵化したばかりの1センチにも満たない幼虫による、食害の進行具合にはおどろきますが、バラにとっては「まだまだ軽微な被害」であるケースがほとんどです。

バラの品種や被害状態により異なりますが、幼虫の食害を受け傷ついた部分は、幼虫の駆除後「自己治癒」により数週間ほどで修復されるケースも多いです。

複数の幼虫がいるケース

1本のバラから2匹の幼虫を駆除した翌日、新たな木屑(排出痕)を発見したケースになります。

1株に複数の幼虫が発生するケースは珍しいことではなく、3~5匹の幼虫を駆除することも少なくありません。

同じ固体により産卵された卵でも、それぞれの孵化に時間的な開きが生じる場合があります。

また、同じバラでも別個体のカミキリムシによる産卵であれば、さらに開きを生じる場合があるので、幼虫の駆除に成功した後も株周りに目を通し状況の変化に備えます。

上部の枝に幼虫がいるケース

株元(根元)近くの被害と比べれば確率は少ないですが、大きく育ったバラは上部の枝に産卵されてしまうケースがあります。

壁面の高い位置に枝を誘引しているバラなど、目に付き辛い場所で被害を受けた場合には、発見が遅れてしまうことがあります。

上記のようなケースでは、枝に手を入れる「バラの季節管理」から、全ての葉を落とし枝の調整を行う「バラの冬作業」を終えるまでには、おおむね対処に至ります。

カミキリムシの食害により、大きく伸ばした枝が枯れてしまうことはありますが、株元の被害とは異なり、枝を入れ替え(更新)することが出来るので、バラが健康な状態であれば、勢いのある新しい枝を短期間で伸ばしてくれるケースも少なくありません。

幼虫による被害(中期)

対策時季 9月~10月ごろ
初期の幼虫から数倍ほどの大きさに育った個体が多くなり、バラが受ける被害も大きくなります。

状況により小さな被害とはいえない場合もありますが、この時季に処置することが出来れば、まだ被害を抑えることに成功したと思えるケースがほとんどです。

食害を受けた場所やその受け方により、大きなダメージへつながってしまう場合もあります。

木屑の量と幼虫の個体差

バラへの食害が進行し、幼虫による被害は広がっていますが、木屑の排出量が増えたことにより発見につながるケースも多くあります。

個体差のあるカミキリムシ幼中

カミキリムシによる産卵時季の違いはもちろんですが、バラの状態や食害場所など摂取環境の違いから、幼虫の個体差が広がります。

9月に大型の幼虫を退治することがあれば、2月に小さな幼虫を目にするケースもあります。

幼虫退治と被害痕への対処

こちらは、秋の季節管理(10月上旬の作業)にて、時季としては大型の部類にあたる幼虫を駆除したケースになります。

壁面に枝を誘引している、つるバラの株元から、大型の幼虫により被害を受けているであろう状況が初見で伺える木屑(排出痕)を発見しました。

夏の手入れ(7月中旬)では被害を確認出来ていないため、前後のタイミングで孵化した幼虫であると思われます。

株元近くに出来てしまった穴は、位置的に雨や土が入りやすく、害虫の侵入などによる2次被害へつながる恐れがあるので、幼虫の駆除を確認し、塗布材剤を用いて表面を塞いでいます。

幼虫の食害によりあいてしまった穴には、ダンゴムシやアリ(その他の虫)が住み着いてしまうケースがあります。また、雨や土が入ることで株の傷み(腐れ)につながる恐れもあります。
ティージングジョージア

株元に受けてしまった被害(食害)の深さから、調子を落としてしまうのではないかと懸念がありましたが、大きく調子を落とすことなく、翌年の春には花を咲かせてくれました。

初めての被害から数年が経ち、現在も調子を落としている様子は見受けられませんが、以降は毎年のように被害を受けており、駆除に成功はしていますがダメージが抜けきらず、どこかしらのタイミング(食害の受け方)により、大きく調子を崩してしまう可能性は考えられます。

食害で出来た穴への処置

調整中

幼虫による被害(後期)

対策時季 12月~3月ごろ
シーズンを通して取り組んできたバラの手入れは、集大成にあたる冬作業の時季に入ります。

寒肥(施肥)に伴う株周りの清掃など、株(根元)に近い場所の作業があるので、木屑(排出痕)や枝葉の状態変化を見逃がさず、状況に合わせた対処を行います。

バラの冬作業時には、幼虫の発生時季から半年前後の時が経過しており、被害の深さに伴い大きな個体が増えています。

それでも成虫になるまでに半年前後の時間があるので、決して早い時季の対処とはいえませんが、被害を食い止める最終時季の対処として取り組みます。

仕事としては、花後の手入れから冬作業に合わせ「6月~3月ごろ」を取り組みの対応時季と記載しています。なお対処自体は4月でも5月でも、蛹になるまで可能であるといえます。

バラの自己治癒(修復)

カミキリムシ幼虫を早期に排除し、被害を小さく抑えられている場合には、短期間で治癒されるケースも少なくありません。

バラによる治癒(修復)範囲は、食害を受けた場所やその受け方、品種や成長具合により異なります。

株周りの治癒(複数個所)

アトリエの庭にある小さな家のつるバラは、手入が困難な場所に植えているので、カミキリムシの発生時季から幼虫への対処が落ち着くころまで、処置を遅らせてしまわないよう見回りを行っています。

多い年では一度に3~4匹と、これまでに10匹を超える幼虫による食害を受けています。

株元で色の異なるカルスによる修復痕は、しばらくすれば一見では分からないほどに馴染みます。

安曇野

カミキリムシにより被害を何度か受けていますが、見回りを継続することで早期発見へとつなげることが出来ており、大きな被害には至っておらず春には沢山の花を咲かせてくれます。

株元の保護(防止策)に関して

調整中

被害を受け続けても枯れないケース

調整中

枯れてしまったバラの株

カミキリムシの幼虫により、株に大きな被害を受けてしまった場合には、状態の立て直しに多くの体力と時間を要します。立て続けに被害を受けてしまえば修復が追いつかず、樹勢を落とし、枯れずとも花の少ない株になってしまうケースがあります。

また、一度の被害でも食害された場所が悪く、成長を続けながらも傷み(朽ち)の広がってしまうケースがあります。復調の様子を伺わせながらも花が少なく、枯れ込む枝が増えるなど、状態の安定しないシーズンがしばらく続き、体力の消耗が大きな時季(芽吹き・開花前後)に限界を迎えてしまうことがあります。

大きな枯れ込みから復活するケース

カミキリムシ幼虫による食害を受け、大きく枯れ込んでしまったバラでも、樹勢を取り戻し復活をなし得るケースがあります。

ランブラーローズなど樹勢の強い品種は特に、部分的に残せた箇所(株の半分・派生部分など)から、新しい枝(ベーサルシュート)を大きく伸ばし、数年で新たな風景が形成されることもあります。

傷んだ株元から出てきた元気な枝が、購入されたバラではない、台木(ノイバラなど)のベーサルシュートであるケースがあります。どちらの枝も出てくるような場合には、育てたいバラ(購入された品種)への養分が拡散してしまわないよう台木の枝を落とします。

カミキリムシへの対策とレポート

こちらのページでは、今季アトリエに飛来してきたカミキリムシへの対策と、幼虫による被害への対処をレポートしています。

作業のご相談について

バラの風景を深めて行く上で、カミキリムシの幼虫による被害への対処(駆除)は、外せない管理と考えており、ウッドチップスで取組む全ての作業に取り入れています。

また、定期的な手入れをご予定されていない場合でも、カミキリムシ幼虫の駆除作業としてご相談いただけます。

カミキリムシ幼虫に対する取り組みは、データを基に駆除確率の高い作業とし結果を出しておりますが、ご相談をいただいた時季や孵化のタイミング、被害を受けた位置やバラの状態などにより、1度の対処では処置しきれない場合がございます。

幼虫による痕跡(木屑・排出痕)を極力崩さないよう保ち、上記をご理解いただきました上ご相談ください。
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業者による手入れをお受けしているバラにつきましては、対応外とさせていただいております。

作業の対応エリア・地域

バラの作業は、拠点とする東京都東大和市のアトリエから、立川市・武蔵野市・三鷹市・小金井市・国立市ほか多摩地域を中心に、杉並区・練馬区・世田谷区など23区一部エリアにて活動しております。

また、所沢市・入間市・狭山市ほか埼玉県一部のエリアに、川崎市多摩区・横浜市青葉区など神奈川県一部のエリアより、作業をお受けしています。
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