アトリエバラの季節管理

春の芽吹きから秋の手入まで【バラの管理と季節の風景】アトリエの庭より

バラの冬作業を終え、アトリエの庭は開花に向けた準備に入ります。シーズンを通してバラと向き合い、より心地よく思える風景を探して行きます。

<strong>2025</strong>
2025

取り組みの軸となる、春の風景を観察する「バラのある暮らし」夏から秋の管理「カミキリムシ幼虫への対処」「芝生の手入」などは、それぞれのレポートになります。

バラの活性化(芽吹き観察)

昨年の11月から取り組み始めた冬作業は、年末年始と週末をフルに使い、新芽が動き始めた3月中旬に完了しました。

昨季の春は、調子を上げる事の出来なかったバラが多く、思い通りの風景を仕立てることが出来なかったので、花後から育成に関わるいくつかの取り組みを見直しました。

立体的に仕立てる感覚も昨季とは変わり、育成の見直しによるバラの変化と合わせ、春の風景を観察して行きたいと思います。

2025シーズンの取り組みは、芽吹きの観察からスタートします。

ウッドチップスでは、若い枝から出てくる元気な新芽より、木化の進んでいる枝や休眠している芽の多い枝からの反応を、より強い活性として捉えています。

》Season2025. バラの冬作業はこちら

1. クリスティアーナ(裏庭)

やや低日照の工房前に植えている、クリスティアーナ。

上部で使用する枝を優先していましたが、フェンス周りの花を見込み難くなって来たので、上部の枝を多めに落とし枝の量を調整しました。

中段の枝と株元から、まずまずの反応が見られます。

木化が進んでいる枝の活性

庭のなかでもっとも古いバラになるCLアイスバーグ。

木化が進み良いとは言えない枝から、活性を感じる芽の動きが見られました。これは良い反応ですよ。

2. モーゼラ(中庭)

バラが調子を落としてしまった原因がカミキリムシ幼虫によるものであれば、むしろ対処し易いのですが、アトリエでは早期に駆除されてしまうため、他の要因を探して見直しています。
》昨季は2ヵ所に食害を受けました

株元付近から顔を出してきた芽は、一見ドクダミでは・・と思いましたが、確認するとモーゼラのひこばえでした。どのような成長を見せてくれるのか、期待値を感じる新芽として観察の対象に。

3. フランソワ・ジュランビル

裏庭の最も奥に植わっているランブラーローズ、フランソワジュランビル。

樹勢の強さから枝の量を調整(外に出てしまうため)している場所で、他に優先して伸ばしたいバラがあるため、そこまでの活性化は狙っていないのですが・・ 休眠していた芽が動き、明らかに活性している様子が伺えます。

4. 安曇野(小さなバラの家)

フランソワジュランビルの向かいにあたる、小さな家の周りでは安曇野の葉が広がり始めています。

バラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)

活性の動きの見ながら庭を回り、バラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)を20匹ほど退治しました。第一陣が出て来たというところでしょう。早期に対処出来れば、葉のみの被害で留める事の出来るケースは多いです。

ブルーランブラー(ファイルフェンブラウ)に モッコウバラ(ロサバンクシアルテア)も通り名で覚えています。

5. テス・オブ・ザ・ダーバービルズ

中庭のメインローズ、テスオブザダーバービルズ。休眠している芽の多い、良いとは言えない枝から活性の動きが見られます。

例年、芽の動きがまったくない訳ではなく低日照な場所であり、上部に回している枝が葉を広げると日照がさらに減ってしまい、動き始めの芽を枯らしてしまうケースがほとんどでした。

この勢いならクリア出来るのではないかなと。

6. マダム・イザーク・プレール

風景スポット(フロントガーデン)の背景を担当するマダムイザークプレール。中段当たりの枝から活性の反応が見られます。

大きく動き始めるはこれからですが、昨季と比べるとかなり良い印象です。

シジュウカラのぐるメゾン(内覧中)

部屋から中庭を除くと、バードハウス(ぐるメゾン)を内覧しているシジュウカラの様子が見られました。

以前は巣作りからキッズの巣立ちまでを部屋から眺める事が出来ましたが、外の風景(パーゴラとテスオブザダーバービルズ)を優先するようになってからは記録も少なくなりました。

記録は出来ませんが、庭で過ごす時間の多いものどうし身近な存在です。

7. バフ・ビューティー

つるアイスバーグ(最古株)に次ぐ古株、フロントガーデンのバフビューティ。

庭の形が変わるなか、担当する風景が背景の一部(裏方)になった頃から、枝の広がりと施肥を抑えており、調子を下ずとも上げることを目的としない状態のバラに・・。

というような状態は変化が表れやすいので、昨季花後の見直しに含んでおり、良いデータが取れそうです。

8. 木化の進行(枝の更新)

木化の進行により、ながらく芽の動きが見られない(最古株)つるアイスバーグの枝ですが、土壌環境の見直しに合わせ、冬の剪定では上部の枝を減らして更新を図っています。

枝量の調整だけでも更新の反応(活性化)は見られますが、株の地力を向上させることでより大きな反応につなげます。

バラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)#2

冬作業の完了が遅くなり、春の準備に追われている間に出し抜かれてしまいました。

バラゾウムシに吸われてしまい枯れてしまっている芽もありますが、多くはこれから展開してくるので、ここからはしっかり対処し損失を抑えます。

9. 小さな家とバラ(安曇野)

バラの季節にだけ開く小さな家の窓。春の準備も落ち着いてきたので、次回レポートでは開いているでしょう。

工房前と窓辺のバラ(風景スポット)

工房前は「風景スポット」のなかでは古い方ですが、残念ながらここ数年は記録も少なく、背景に映り込むくらいが丁度の場所になっています・・。

風景づくりを考えるなか、これまでにバラの植え替え(配置換え)を数多く繰り返して来ましたが、今季は植え替えを最小限に抑え、風景を補う「サポートバラ」を足して行くスタイルを試しています。

あれこれ悩むのは手入れよりも配置の方でなので、植え込めた時点で(スペースではなく感覚として)新たな試みといえるでしょう。サポートには新しい品種を充てているので楽みです。

10. オリビア・ローズ・オースチン

裏庭の倉庫前花壇に植えているオリビアローズオースチン。

昨季は調子の上がらないバラを多く出してしまい、なかでも風景を欠いてしまった倉庫前。そのような中でも花壇の風景を形にしてくれたオリビアローズオースチンは、お気に入りバラの1本です。

11. プリンセス・アン

倉庫前の差し色として配置しているプリンセスアンは、アトリエガーデンで育てているイングリッシュローズの最古株になります。

イングリッシュローズのファーストチョイスはメアリーローズでした。華やかな大輪と香りが新鮮で、バラを育てる楽しさを広げてくれた1本です。

アイアンゲートの塗り替え

中庭と裏庭の境にあたるゲートは、木製からアイアンに替えていますが、ブルー系の色が風景に溶け込み過ぎていたせいか、存在が薄かったのでホワイトに塗り替えました。

12. アレゴリー

工房横の花壇に植えている、お気に入りバラの1本アレゴリー。枝の下部あたりから新芽を出しており、とても良い活性反応が見られています。

下の方からは芽を出さないのでは、と思うくらい見ていないので嬉しいです。

工房前辺りの足回りは日照環境が厳しく芝生は定着しないので、ハイブリッド芝生を敷いています。このあたりは風景スポットに写り込む場所なので、後ほど軽めの調整を。

春までに準備する作業のひとつ、芝生の手入れも完了しました。
》Season2025. 芝生の手入れはこちら

13. クラウン・プリンセス・マルガリータ

昨季シーズン後にフロントガーデンでもっとも成長した、クラウンプリンセスマルガリータ。

樹勢の強い枝を何本も伸ばしてくれたのでアーチには収め難くなりましたが、枝の流れを活かして空間の拡張を図っており、どのような形をつくれているのか楽しみな場所のひとつになっています。

エントランスへの小道(風景スポット)

フロントフェンスの裏側はシェードが多く、落ち着きを感じる空間です。

奥に見えるエントランスゲートにはつるボニー、中央のアーチにはフィリスバイドを誘引しています。

手前のアーチ(黒)には流せる枝がまだ少なく複数のバラを合わせており、クレマチスのサポートにも期待したいところ。

14. ソフィーズ・ローズ

駐車場に車を入れて、枝が折れてしまわないよう仕立てている、ソフィーズローズとオリビアローズオースチン。ソフィーズローズはプリンセスアンよりも先に植えている(最古株)かも知れません。

アトリエの庭では空間ごとに、つくる事の出来るバラの風景を探しているため、品種単体の写真がほとんどありません。つい広く写したくなってしまうというか、習慣ではないので忘れてしまうというか。。

インスタグラムには空間の風景を上げていますが、風景に溶け込んでいるバラ単体の写真を添えられたらなとの思いがあり「春の芽吹き観察」は、品種にスポットを当てる事を意識する企画でもあります。

15. クィーン・オブ・スウェーデン

フロントガーデンの花壇に植わるクイーンオブスウェーデン。高い位置で咲かせている場所ですが、衰退が感じられたので切り戻しており、活性へとつながりました。

小道から眺めるバラの空間

小道から眺める空間はフロントガーデンの風景スポットではありますが、窓周りのバラを欠いてしまい、以降は枝を流せていなかった事もあり、記録の少ない空間になります。

今季も大きくは変えられませんでしたが、昨季よりも花を見込める枝を増やせているので(サポートバラも植え替えました)雰囲気を感じられるくらいには、咲いてもらえるでしょう。

16. 小さな家の窓開き(安曇野)

小さな家の窓が開き、ここからは窓を開いた状態でバラとクレマチスを馴染ませて行きます。

シジュウカラのぐるメゾン(契約済)

ぐるメゾンの設置から、あっという間に契約が決まり、巣作りも完了したようです。

フェリシアが伸びて来ると入口を塞いでしまうので、シジュウカラに指摘される前に手を入れます。

ハウスをクリーニングして欲しいとか、おやつ出して欲しいとか、そこに居ないで欲しいとか言ってます。

中庭のヒルズガーデン(風景スポット)

日に日に緑が広がる、中庭のヒルズガーデン。足元周りの清掃と敷石の手直しが完了しました。

今週は週末にしか観察が出来ないので、次のレポートではそれぞれの空間で深まりが進んでいると思います。

17. つるアイスバーグ

植え込み位置から無理な流れで仕立てている、フロントフェンスのつるアイスバーグ。

引っ掛かりが出やすい条件のなか、昨季よりも調子を上げている様子が感じられます。

フロントガーデン

日取りが広がるにつれ、見直しにより活性を感じるられる反応を見せるバラと、思う程の手応えを感じられないバラが見えてきました。

何本かのバラを除き、多くのバラが想定よりも調子を上げているので、今季は良い方のアップデーターを集められそうです。

ここ数年は良くない方のアップデータばかりでしたから。

18. クレア・オースチン

新設したオベリスクには、クレアオースチンを誘引しています。

枝が足りていない事から付近のバラとミックスして形をつくっており、イメージありきの仕立てではないだけに、どのような雰囲気になるのか楽しみです。

19. ジプシーボーイ

昨季はかなり調子を落としてしまい、風景を欠いてしまった窓周りのジプシーボーイ。

ただいまのところ活性反応も多く見られますが、印象としては開花時季までには押し上げ切れないのではないかというところです。

間に合わない場合を踏まえ風景のバランスを図って置きたいので、最終調整として無理の無い範囲で枝を組み替えようと思います。

20. アイアンアーチ(黒)

クレマチスのサポートが加わり、アイアンアーチ(黒)は、緑に変わってきました。

こちらもミックス仕立てになるので、新しい気づきが見つかるかも知れませんね。アプリコットよりのアーチになるのかな・・。

21. テス・オブ・ザ・ダーバービルズ

テスオブザダーバービルズの枝が密に広がり、干している洗濯物が見えない程に。

ステムが非常に長く花が開くと雨や風で倒れてしまうので(場合により折れる)仕立てたままの形でシーズンを終える事は考えておらず、倒れてから手を入れながら別の雰囲気仕立てることを想定しています。

倒れてからの方が味のある雰囲気をつくれるケースも。

22. ダム・ドゥ・シュノンソー

工房前のフェンスにはダムドゥシュノンソーが枝を広げています。

フェンス下部は日照の厳し場所で花付きも少ないため、切り戻しによる活性化を検討しましたが、風景のバランスをさらに崩してしまう恐れがあるので今回は見送りました。

その代わりではありませんが、2種のサポートバラを加え適応を見て行く事に。どうなるでしょうね、楽しみ。

裏庭の芝生と花壇のバラ

裏庭の花壇は、フェンスの陰に入ってしまい日照的にも難しい部分があるので、それなりの結果を受け止めて来ましたが、なんだか期待出来そうな雰囲気を感じています。

小さな家とバラの庭(風景スポット)

活性化を見せるバラが多いなか、明らかに調子を下げてしまったバラが1本あり、期待値の高かったグラハムトーマスが残念なバラに。

取り組みの結果なので仕方ありませんが、風景の担当場所が欠けてしまうのは困るので、隣に植わり余剰枝を期待出来るフランソワジュランビルに枝をまわしてもらい、風景を補えることが出来ればと考えています。

来週末はその辺りの作業と合わせて庭を回り、開花前の最終調整を完了にしたいと思います。

春から秋までの作業は「芝生の手入」「バラのある暮らし」「カミキリムシ幼虫への対処」などの一部レポートを除き、こちらのページに追加して行きます。

芝生の手入(季節の刈り込み)

芝生が綺麗に揃うのは夏ごろなので、バラとは良い時季とは重なりませんが、春の風景観察時に少しでも馴染んでもらえるよう手を入れて行きます。
》Season2025. 芝生の手入れはこちら

小鳥たちの庭(ヒルズガーデン)

シジュウカラが遊びに来てくれる冬の間は、バラの冬作業に追われてしまいゆとりがなく、ぐるメゾンでの子育て時季は、バラの開花と重なり風景観察に勤しんでしまい、小鳥たちの記録は多くありませんが、庭で過ごす時間の多いもの同士とても身近な存在です。庭のレポートに登場する小鳥たちのシーンをピックアップしています。
》Season2025. Coming Soon

バラのある暮らし(春の風景観察)

アトリエの庭では、道路に面した「フロントガーデン」中庭に位置する「ヒルズガーデン」裏庭にあたる「シークレットガーデン」とする3つの空間をつくり、環境の異なるそれぞれの空間で仕立てることの出来る風景を模索しています。

バラと庭の心地よく思える場所(画角)を「風景スポット」としてピックアップしており、シーズンごとの変化を観察しています。
》Season2025. Coming Soon

カミキリムシ被害への対策と対処

カミキリムシ幼虫による被害はアトリエのバラだけでも、ここ2年で50カ所ほど発生しています。早期発見から被害を抑え100%駆除につなげています。食害データ収集のため、目視による処置(排除)を優先しています。
》Season2025. Coming Soon

》Season2024. カミキリムシへの対策と対処はこちら

バラの冬作業

今季のアトリエ冬作業では、軸となるバラの剪定と誘引、苗の植え替えに土壌の見直し、ウッドフェンスの作り替えにアーチやオベリスクの設置など、春の風景を形にするための準備を行いました。
》Season2025. バラの冬作業はこちら